求人の第一人者
そこで、自らの持つフランス料理という素地を生かしながら、大衆居酒屋と高級レストランのすき間をねらった新しいスタイルの料理を提供することを思いついた。
それが「食べて得する居酒屋庵」で提供した料理であり、後に「創作料理」と呼ばれるものの走りとなりました。
バブル崩壊前、フランス料理などの高級レストランはたくさんのお客さまでにぎわっていました。
レストラン経営者の多くは日本の景気が今後も上昇し続けると錯覚し、時代の先を読むことをしなかった。
それと前後して、『Hanako』(一九八八年)や『HanakoweSt』(一九九○年)、『TOkyoWalker』(一九九○年)といった情報誌が次々と創刊され、雑誌による飲食店の紹介が盛んに行われるようになりました。
なかでも新興勢力である「創作料理」系の特集がくり返し組まれたことにより、消費者の注目はさらに「創作料理」に集まるようになったのです。
人間は、注目されているものに寄って行くものです。
お客さまだけでなく、同業者も同じこと。
二匹目のどじょうを狙おうとする人々が、次々に創作系の料理店を開いていきました。
そうして一九九三、四年頃になると、「創作料理」「無国籍料理」「多国籍料理」という名を冠した料理店が数多く見られるようになりました。
まさにここから、日本の外食市場が様変わりを始めたのです。
バブル崩壊とともに産声を上げた創作料理は、いまや外食の主流を占めるまでに成長しました。
三、四年前まで、新卒採用の面接にやって来る調理師学校の学生たちに「本当はどんな料理をやりたいのか」と聞くと、「イタリア料理」との答えが圧倒的に多かったのですが、この一、二年はほとんどの学生が「創作料理をやりたい」と答える。
調理師の卵たちは案外、世間を知っているものだと感心しています。
創作料理とともに台頭した多国籍料理は、すっかり姿を消してしまいました。
唯一生き残った創作料理は、あるいは「フュージョン」と表記を変えながら、すべての料理ジャンルで見かけるようになっています。
創作和食、創作中華というように。
視点を転じ、現在女性の人気を集めている宿を見てみると、和のテイストを上手に生かした、いわば「創作旅館が数多く見られます。
日本はいままさに、創作花盛りといえそうです。
一方で苦戦を強いられているのは、一九七○年代に創業した外食チェーンのナショナルブランドです。
なかでも昔ながらのいわゆる居酒屋は、次々と現れる創作料理店にお客を奪われるばかり。
どの舞誌を見ても和のテイストを取り込んだ、いわゆる「癒しの創作料理店が紹介きれているのを見て、「ああいう店を作ればうちの店繁盛するのではないか」という安直な考え方の持ち主がやがて現れました。
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